衛生士の日々の仕事

歯について思うこと。

2014-05-05

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歯の痛みと言う物はかなりひどいもので、よく患者から
「なんで歯の中に神経があるの?さっさと神経抜いて被せてくれ」
とか、かぶせた歯が虫歯になり、またはしみるような痛みが出た時。
「なんで神経抜いて治療してくれくれなかったの?」
とか、質問されることがある。

歯の中の神経の役割は、おそらく噛んだ時にその噛んだものの硬さを測定する働きをしていると考えている。
神経を抜いた歯でも噛んだ感じは分かると思う人もいるとおもうけど、それは歯根膜という部分の神経の働きによるもの、もしくは噛みあわされる対合歯の働きによるもので、神経を抜いた歯自体は硬さを感知することはできないと思う。

歯の外側のエナメル質の部分の歪えを象牙細管というものが捉え硬さとして判断していると考えている。
硬いエナメル質の僅かな歪をかんちするのだから、かなり鋭敏な神経だと思う。
「歯が痛いのだけは我慢できない」
という患者が多いのも頷けるわけだと思う。

しかし、僕はあまり歯の中の神経を抜くのは好きではない。
大昔、人はいろんなものを調理なしでたべていて、木の実、落ちているもの、骨などを咀嚼する際には歯そのものを守るため瞬間の硬度を測定するという働きはかなり重要だったと考えられる。
歯が折れたり欠けたりしたら、痛みで食事が出来ず死んでしまう。
つまり歯の中の神経は生命を守るため重要な働きだったことは容易に想像できる。
現代の食生活は柔らかいものが多く、また小石などの異物が混入することもまれで、咀嚼の際の硬度を測定するという機能はそう重要でない様に思われるがちである。
でも僕はまた違った役割があるのではないかと最近思っている。

人は食事の時何を食べるかは考えるけど、一度口の中に食べ物を入れてしまうとあとは勝手に口が動くかのように無意識に食べていく、しかしその咀嚼中の運動は舌と頬の筋肉を使って物を歯のかみ合う位置に運び、裂いてかみ砕き、つぶす、という複雑な動作が行われている。
つまり、人はなにげに美味しいねと言いながら簡単に食べているけれども脳はフル活動しているのである。 

その咀嚼運動のセンサーは舌であり、頬っぺたの内面であり、歯根膜などであるけど、一番重要なセンサーは歯の中硬さを計り噛み心地を感知する歯の中の神経だとおもう。
上手く美味しく食べるということは、繊細な神経からの信号とそれに合わせた顎を動かす筋肉、舌を動かす筋肉、頬っぺたを動かす筋肉が連動して成り立つものなので歯の中の神経はかなり大事だと思える。

人は無意識にモグモグとたべているけれど、その時の神経系の働きは一流のピアニストの指のように働いていると考えられる。
ときどき、食べているとき、小さな骨や小石のようなものが食べ物の入っていてあっと思って口を止めた経験はないだろうか?
それは、物凄い反射神経ではないのだろうか?
裸足で歩いているとき、とがったものを踏んだ瞬間に足を止めれる人はどれだけいるだろうか?
あまりいないと思う。

口の中は体の中でも最も神経系が発達した部分だと考えられないだろうか?
食べるということは、単に栄養を摂取するということだけでなく、脳にとってよい運動になるのではないかと最近よく思う。
人間の寿命が延びて体が長く生きたとしても、脳が働きを弱めてしまったら悲惨だと思う。

頭を使うということは、考えることであり、歩くことであり、手を動かすことであり、他の人とはなすことであり・・・。
そして、美味しいものをよく噛んで食べるということだと思う。

ぜひ、歯は大切にして欲しいと思う。

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